リニア中央新幹線の工事が進んでいます。まずは品川〜名古屋間が先行され、新大阪〜名古屋間は少し遅れて開業という計画となっています。
新大阪〜名古屋間には、三重県と奈良県に駅ができることが決まっています。
新幹線が走っていない奈良県に、リニア中央新幹線の駅が設置できるとのことで、にわかに誘致競争が起きています。
リニア中央新幹線をめぐっては、奈良市・生駒市・大和郡山市が誘致をしています。
・・・ん?生駒市?ってどこ? 大和郡山市?どこ?
関西の人でも、知らない人も多いこの2つの市。
そんなさなか、京都府までもが「京都にリニアの駅を!」ということまで言いだしているとのことです。
でも、ふつー、当たり前に考えて「JRの奈良駅」にできるんじゃない?って思いますよね・・・
と、いうことで、駅の候補地を地図にマッピングしてみました。
隣の駅が「新大阪駅」と「三重県亀山市付近」で、奈良県を通るとなると、最短ルートとなるのは、奈良県と京都府の府県境ぎりぎりあたりになってしまいそうです。
JR奈良駅にリニア中央新幹線の奈良県駅ができれば、JRとの乗り換えもできて便利なのでは・・・と、思ってしまいますね。
鹿のいる奈良公園がすぐ目の前・・・とても観光に便利でしょう。
ただ、JR奈良駅のすぐ東側は世界遺産のエリアです。「東大寺」「興福寺」「春日大社」そして「若草山」など、日本の歴史上重要な神社仏閣がたくさんあります。地下にも重要な遺構がある可能性もあり、地上も地下もリニアの線路を通すことは かなり課題が多いです。
貴重な埋設物がたくさん眠っていると思われるJR奈良駅周辺を掘ってしまうと、文化財を失うことにもなりかねません。そのため、発掘調査が延々と行 われることになるでしょう。また地下水脈への影響を受けて、埋設物が影響を受けることも予想されています。正直、この辺りはやめた方が良いでしょう。
JR奈良駅の西側についても同様です。 平城京の範囲は当初想定よりもかなり広かったとの話もあり、平城京の南端とは言え、掘ると様々な 文化財が出土することは予想されます。またその下を掘る場合、水脈切断による文化財の劣化も想定され、様々な課題がでてくると思われます。
とにかく「掘ってはいけない、奈良」です。
JR奈良駅付近の評価結果
条件 | 結果 |
・既存路線・駅などの接続性 | ○ JR奈良駅・近鉄奈良駅 |
・周囲の発展度 | ○ 比較的発展している |
・周囲の用地 | × 十分な用地は無い |
・文化財などの周囲の立地条件 | × 歴史ある神社仏閣や若草山・平城京があり、地下に大量の文化財が眠っている。正直、掘ってしまうと大変なことになることが想定できるエリア |
・奈良県内のルート | × 東側では、若草山を避ける必要があると想定され困難 |
・大阪府下のルート | △ 163号線近くまで北に迂回することで住宅地の縦断を最小化することは可能 |
・ルート全体の短絡性・直進性 | △ 若干少し南に迂回するルートとなる |
・その他の要因 | △ 奈良県は「JR奈良駅付近」とは言っていない |
総合判定 | × 地下困難・地上はもっと困難 |
実は、大和路線にJRの新駅が計画されています。JR奈良駅の南西で大安寺の西側。JR奈良駅とJR郡山駅の間に設置される予定です。JR奈良駅からも近く、天王寺方面へのアクセスも良い場所です。またここには「京奈和自動車道」のICも設置され、交通接続点としても設計されています。
そのため、ここにリニア中央新幹線の奈良県駅が設置される可能性も高いと思われます。
しかし、
・この場所から西へ直進すると「唐招提寺」「薬師寺」があるなどで、ルート上の課題がある。
・新大阪への直線ルートで進む場合は、大阪の住宅地を多く通る必要があり、高難度となる。(生駒山脈を北に掘り国道163号ルートにする必要がある)
・この辺りも掘れば遺構がたくさん出るエリアなので、掘るといろいろ出土して、発掘調査が必要になったり、工事で文化財を失ってしまう可能性が高い。
という課題があります。
JR奈良新駅(八条)近の評価結果
条件 | 結果 |
・既存路線・駅などの接続性 | △ JR奈良新駅(八条)、JR奈良の隣駅 |
・周囲の発展度 | × 特に何もない |
・周囲の用地 | △ 若干用地はある |
・文化財などの周囲の立地条件 | △ 平城京の南端・西側は「西ノ京エリア」 |
・奈良県内のルート | △ 一部、幹線道路が無いところも |
・大阪府下のルート | × 直進ルートの場合、住宅地を長い距離を縦断 |
・ルート全体の短絡性・直進性 | △ 直進よりも少し南に迂回するルートとなる |
・その他の要因 | ○ 新駅・京奈和自動車道との接続という条件は良い |
総合判定 | △ 中途半端間が否めない |
大和郡山エリアでは、JR奈良駅やJR奈良新駅よりも南側で、新大阪までの距離もさらに長くなるため、ルートが長くなり、こちらのハードルは高いと言えるでしょう。
新大阪へ直進する場合、大阪府下では適した幹線道路もあまりありません。そのため生駒山脈を北に掘っていくことになる可能性があります が、そうなるとカーブがきつくなります。
加えて、2022年2月に、大和郡山市が「リニア新駅は奈良市に・・・」ということを発表したとのことで、大和郡山案はほぼ無いでしょう。
大和郡山エリアの評価結果
条件 | 結果 |
・既存路線・駅などの接続性 | × JRと近鉄のクロスポイントに新駅を作る? |
・周囲の発展度 | × 特に何もない |
・周囲の用地 | △ 田畑がある |
・文化財などの周囲の立地条件 | ○ 既知の文化財は少ない |
・奈良県内のルート | △ 住宅地などを通る距離が他の案よりも長くなる |
・大阪府下のルート | × 直進ルートの場合、住宅地を長い距離を縦断 |
・ルート全体の短絡性・直進性 | × かなり南に迂回し、経路も長い、直進性が難しい |
・その他の要因 | × 大和郡山市も手を下げ始めた |
総合判定 | × 経路も長くなり予算面でも厳しい |
生駒市が誘致している生駒の学研都市エリア(高山地区)や、その近くの学研奈良登美ヶ丘駅は、新大阪駅まで直線距離が短く、大阪でも幹線道路があるため住宅地を通る距離も短く、 直進性も高く、ルート的には比較的優位です。
学研都市の高山エリアの場合、奈良先端大付近は駅から少し離れているため、近鉄けいはんな線で生駒駅の隣の「白庭台」やその隣の「学研北生駒駅」付近になるのではと想定できます。 また、その東側にある「学研奈良登美ヶ丘」駅も似た条件となります。
この付近は国道163号線が東西に走っており、大阪府下の地下を通るのに適した幹線道路の条件は恵まれています。 奈良県内も、山や幹線道路の下を貫けられるので比較的条件は整っています。
ただし、デメリットとしては、これらの駅から奈良市内へのアクセスが悪いということです。さらに、駅周辺は大阪への通勤に適した住宅地なので、「ここにリニア新幹線の駅ができても 、奈良県全体としてメリットが少ない」というのが課題です。また新大阪からの距離が25キロ程度しかなく近いというのも課題です。
なお「生駒駅」から大阪環状線がある「鶴橋駅」は快速急行で"隣の駅"で所要時間も10分台という利便性のいい場所です。難波方面へのアクセスとしてつかえる駅になるかもしれませんね。もっとも、リニア奈良駅に停車する列車は所詮1時間に1本〜2本程度で、たいして使えないかとは思いますが・・・ 。
ちなみにリニア駅ができるならば、停滞している近鉄けいはんな線の「高の原延伸」は進む可能性があります。 延伸されると、奈良方面へのアクセスも少し改善されますね。
生駒(学研都市高山エリア)・学研奈良登美ヶ丘の評価結果
条件 | 結果 |
・既存路線・駅などの接続性 | △ 近鉄けいはんな線(地下鉄中央線直結)駅接続の場合、大阪方面のアクセスは良い。けいはんな線延伸(高の原)も進めば、京都方面や奈良方面のアクセスも改善。 |
・周囲の発展度 | △ 住宅地 |
・周囲の用地 | △ すでに住宅地で意外と自由度が無い |
・文化財などの周囲の立地条件 | ○ 文化財は少ない |
・奈良県内のルート | ○ 幹線道路の地下や山中が利用できる |
・大阪府下のルート | ○ 幹線道路の地下が利用でき、経路も短い |
・ルート全体の短絡性・直進性 | ○ 直進性が高く、経路も短い |
・その他の要因 | × 近鉄との接続でJRはOKを出すか不明 × 大阪から近いので、リニア新幹線駅が必要か不明 |
総合判定 | △ 奈良県内からのアクセスが悪い |
リニア中央新幹線の奈良県駅での本命は、「近鉄高の原」か「JR平城山」駅でしょう。
「近鉄高の原」駅は、奈良県にありながらも、駅のすぐ北側は京都府という、府県境にある駅なのです。
「JR平城山」駅は、JRの車庫など駅周辺にスペースもあり、比較的土地の確保に優れています。
どちらの駅も、奈良市であり、しかも、京都駅と奈良駅へのアクセスに優れているという点で共通しています。
写真は高の原駅。駅前にイオンモールもあって利用者数も多い駅です。
ちなみにこのイオンモール、北側は「京都府」南側は「奈良県」という府県境に存在しています。
高の原駅は将来、延伸されるけいはんな線のためにスペースも確保されています。
なお、候補を1つの駅に絞れないのは、利用者数、利便性、将来延伸されるけいはんな線を踏まえると、圧倒的に「近鉄高の原」が優位です。しかしJR東海が建設するため、JRとの親和性・JR奈良駅へのアクセス・今後のJR奈良線の複線化が進むことを見据えると「JR平城山」駅の可能性も高いです。
ちなみに「平城山駅」は「ならやま駅」と読みます。ふつう「ならやま」って読めませんよね・・・
まとめると以下の3点から、この両駅が候補になるといえます。
@奈良県内の条件が良い(山の中や幹線道路の下を貫けられる)。
A新大阪駅までの距離が短く、大阪府下の地下を通るのに適した幹線道路の条件が良い。(国道163号線)
B京都府が「リニアを京都に」と言いだしており、これらの駅から京都へのアクセスも良いことを訴求すれば、京都が後押しするかもしれない。
奈良県駅でありつつも、Bがこの案の追い風になる可能性もあります。
近鉄高の原駅の評価結果
条件 | 結果 |
・既存路線・駅などの接続性 | ○ 近鉄高の原駅、京都・奈良方面へのアクセスは良い。 けいはんな線が延伸すると、地下鉄中央線と直結 |
・周囲の発展度 | ○ 住宅地 |
・周囲の用地 | △ すでに住宅地で意外と自由度が無い |
・文化財などの周囲の立地条件 | ○ 文化財は少ない |
・奈良県内のルート | ○ 幹線道路の地下や山中が利用できる |
・大阪府下のルート | ○ 幹線道路の地下が利用でき、経路も短い |
・ルート全体の短絡性・直進性 | ○ 直進性が高く、経路も短い |
・その他の要因 | ○ 京都府と接しており、京都府からの後押しもある? × 近鉄なのでJRがOKを出すか? |
総合判定 | ○ 比較的条件は整っている |
JR平城山駅(ならやま駅)の評価結果
条件 | 結果 |
・既存の駅などの接続性 | ◎ JR平城山駅。JR奈良駅の隣。既にJR大和路線・JR奈良線、JR学研都市線直通の電車が走っており、奈良・京都・大阪方面へのアクセスは良い |
・周囲の発展度 | △ 住宅地だがそれほど賑わいは無い |
・周囲の用地 | ○ 車庫などJR保有地がある |
・文化財などの周囲の立地条件 | ○ 文化財は少ない |
・奈良県内のルート | ○ 幹線道路の地下や山中が利用できる |
・大阪府下のルート | ○ 幹線道路の地下が利用でき、経路も短い |
・ルート全体の短絡性・直進性 | ○ 直進性が高く、経路も短い |
・その他の要因 | ○ 京都府と接しており、京都府からの後押しもある? ○ JR駅との接続なので優先される可能性が高い ○ 京奈和自動車道も近くに整備されるので、交通接続点としても比較的優位 |
総合判定 | ◎ 最も条件が整っている |
・・・比較してみると、いまは特に目立ちもせず、難読駅で読み方も分かりにくく、正直存在感も薄い「平城山駅」が一歩出ているという感じでしょうか。
中央リニア新幹線の奈良県駅は、世界遺産である奈良公園付近や平城京付近にリニアの線路を通すことは難しく、奈良県内の幹線道路の状況・大阪府下の幹線道路の状況を踏まえると、選択肢はかなり狭まってきます。
また、奈良から新大阪方面へ直線で進めるルートは「国道163号線」と「淀川河川敷」が最短で直線的になります。
そうなると「奈良県駅」はほぼ京都府と奈良県の境にある「高の原」か「平城山」に設置される可能性が高いのでは、と考えます。
なお、あくまでも想定ですが、JR奈良駅の隣駅であり、大和路線(大阪〜天王寺〜奈良〜平城山〜木津〜加茂)と奈良線(奈良〜平城山〜木津〜京都)の電車が走っており、駅前にJR保有のスペースが多いことから「平城山駅 (ならやま)」にできるのでは・・・と思っています。現状、利用者が少ない駅で、そもそもなんて読むのか分からない人も多い駅ですが、化けるかもしれませんね。
現時点ではまだ発表されていませんが、奈良県駅がどこに設置されることになるか!?・・・楽しみですね。