<都市交通>LRTが日本をかえる (2002.04.02)
近年、LRTという交通機関が着目されている。LRTは路面電車の発展した交通機関であるが、人間中心の街づくりに効果的であり、うまく運用することで交通渋滞を抑制し、街の活性化につながる効果もあり、自動車に代わる交通機関として、改めて見直されている。また、ヨーロッパでは、これまで導入していなかったLRTを新規に導入することで、自動車を利用しなくても生活できる街をつくり、人の動きまで活性化させる効果が得られている。
今後、日本においても、「街」における動脈としてLRT導入の検討が欠かせないと考えられる。
本レポートでは、LRTの特徴と、どのような街に導入することが適しているかについて検討を行う。
LRTの特徴
LRTは、超低床型の路面電車とも言われているが、ヨーロッパを中心として都市内交通として復活している。この「新たな交通機関」が普及している理由として、従来の路面電車に加えて、
(1)利用しやすい
「低床」であり、乗り場が歩道に接していることや、運賃支払いに手間取らないなどがあげられる
(2)運行速度が速い
他の交通手段より優先されて運行されている
(3)街の活性化につながる
従来の駅による活性化は、駅という点を中心とした活性化であったが、LRTによる活性化は沿線に沿った線から面による活性化を促す効果がある
といった特徴があげられる。
また、LRTがあれば自動車の利用をせずにすみ、ドライバーにとって、交通事故の加害者になる危険が減る効果もある点も大きなメリットであるといえる。(お酒を飲んでも帰宅できる)
これまでは、都市内交通として地下鉄や新交通の建設が行われていたが、莫大な建設費(100億円/km程度)がかかるため、建設できる路線は限られていた。また、地下鉄や新交通は地上から離れており、乗り場にたどり着くまで時間を所要するなど、利用しやすい交通機関とは言いがたい現状であった。LRTでは、これらの課題の解決が可能となる。
また、LRTは、街中で歩行者が乗降するため、歩行者と店との接点が多くなり、市内活性化にも一役買っている。もちろん、年配やお年よりの方の移動手段としても有効であり、これまで外出を控えていたお年寄りが、積極的な外出を可能とする効果もある。
交通の空白地帯
↓ LRTが都市内交通における空白地帯を解決する
LRTは、「動く歩道・エスカレータ・エレベータ」の延長線という位置付けが適している。
LRTは、コストが抑制できるとは言え、運用が必要なため、安易な導入はその後のコスト増を産み出す危険がある。
LRTの建設には、
(1)そもそも路面電車が走っていた街
東京都心・大阪市内・京都市内・神戸市内・横浜市内
(2)観光地
奈良市・鎌倉
(3)交通渋滞により、公共交通機関の運行に支障が生じている地方都市
さいたま市・宇都宮市・仙台市・長野市
(4)交通の空白地帯となった巨大ニュータウン
多摩ニュータウン・千里ニュータウン など・・・
などが適していると言えよう。
LRTが導入される時期
LRTの導入は、各地域の文化価値を見直し、街づくりを考え直す時期に、本格的に始まるのではないでしょうか。
特に2007年度以降は東京や大阪における地下鉄建設が一段落するため、街づくりとしてLRTが着目される事と思われます。
それまでに、無架線(バッテリ型)LRTの技術革新や、LRTの導入の促進や優先的な走行を可能にする為の法律整備などが必要です。
LRTのレポート (メイン) LRTが日本をかえる (02.04.02) 渋谷にLRTを走らせろ?! (03.08.01) LRTは儲かる? (05.01.15) 【大阪LRT構想】難波〜日本橋電気街〜恵美須町〜天王寺ルート(12.3.17) |